毎月レポート

16.06.01

もっと遊んで!“娯楽”が“教育”になる「エデュテインメント」広がる。



 遊びを通して知識や技術を学べる、教育ビジネスの新形態、「エデュテインメント」。“エデュケーション=教育”と“エンターテインメント=娯楽”の合成造語です。

 日本での先駆けは、メキシコ発の職業体験型施設[キッザニア](東京/兵庫)が知られています。“楽しみながら社会のしくみが学べる”がコンセプトで、3~15歳の子供が対象。実際の3分の2のスケールで作られた街(約60のパビリオン)のなかで、憧れの仕事にチャレンジ。実在の企業がスポンサーとなっており、体験できる職種は、開業当初70種類だったのが時代とともに新しい職業が追加され、現在は約90種類に。仕事を終えると、仮想通貨「キッゾ」のお給料がもらえ、客として他のパビリオンで支払いに使用できたり、館内の銀行に預金もできます。英語で仕事体験できるプログラムや体験時間が通常より短い「アルバイトアクティビティ」など、常に新しい企画を取り入れて高いリピート率を達成しています。

 今年3月、[よみうりランド](東京)に新設されたのが、モノづくり体感アトラクションエリア「グッジョバ!!」(Good Job Attractions)。総工費100億円、日本最大級の屋内型遊戯施設です。自動車(日産自動車)、食品(日清食品)、アパレル(ワールド)、文具(コクヨ)の4種類のファクトリーを模した建物に、製造工程を巡る15種の体験型アトラクションが用意されています。

 ショッピングセンターなどにもエデュテインメント型の体験施設を設ける動きが広がっています。
 [ららぽーと富士見](埼玉)の「チームラボアイランド---学ぶ!未来の遊園地」では、最新のデジタル技術を駆使したアトラクションが人気です。描いた絵が泳ぎだす“お絵かき水族館”や“光のボールでオーケストラ”など6種のクリエイティブなアトラクションが体験できます。

 また、親・子供・祖父母、3世代の取り込みを狙った施設も登場。“親子3世代で楽しめる仕事体験パーク”と銘打った[カンドゥー](千葉)では、入場するとすぐに、中央にあるレストラン(530席)の席へ案内され、帰るまで同じ席が確保されます。着席しながら子供や孫の楽しむ様子を眺めることができ、施設内はバリアフリーで高齢者でも移動しやすい配慮が。

 想像力や問題解決力を養うといった教育的要素を付加価値に、子供の未来への投資の場として拡大を続ける「エデュテインメント」市場。協力・提携という形で後押しする企業にとっては、社会貢献やCSR重視をアピールする絶好の機会かもしれません。


【参考】
キッザニア http://www.kidzania.jp/
よみうりランド http://www.yomiuriland.co.jp/
ららぽーと富士見 http://www.lalaport-fujimi.com/
カンドゥー http://www.kandu.co.jp/
日経MJ(2016年3月21日付)



生身が演じるアニメの世界。年々盛り上がりを見せる「2.5次元ミュージカル」。

 2次元で描かれた日本のマンガやアニメなどを原作に、その世界観を3次元の舞台作品にショーアップしたライブエンターテインメントのことを、その中間の次元に位置するものとして「2.5次元ミュージカル」と呼ばれています。ファンの間で自然発生的に名付けられたという背景もうなずけるほど、とにかく構成も演出も徹底して原作を忠実に“立体化”。作品内のキャラクターたちが生身の姿で眼の前にいる感覚です。

 古くは、『ベルサイユのばら』(1974年)が「2.5次元ミュージカル」の原点といわれています。その後、1993年初演の『美少女戦士セーラームーン』、2000年の『HUNTER×HUNTER』など。そして2003年、『テニスの王子様』が大ヒットして一気に火が付き人気が定着しました。

 公演作品数もウナギ登りで、2010年に約30本だったものが、2013年に70本、2015年には100本を超えました。観客動員も右肩上がりの伸びで、2011年の約57万人から2015年には145万人に達しています(ぴあ総研)。

 客層は主に10~30代の女性。今まで、舞台やミュージカルといったものには興味がなかった人たちです。「2.5次元ミュージカル」は、出演俳優の知名度に左右されるテレビや大劇団のスターシステムとは異なり、作品中のキャラクターやストーリー自体にファンが付いているため、無名の若手俳優でも受け入れられる土壌があります。なによりキャラクターのイメージに合っていることが最優先で、今や人気俳優となった城田優さんや斎藤工さんなども「2.5次元ミュージカル」の“卒業生”です。

 とはいえ、これだけ人気が高まりながら、いまだに一般の認知度は高くはありません。そこで2014年、国内での「2.5次元ミュージカル」というジャンルの確立と、このコンテンツを世界へ発信することを目標に掲げ、「日本2.5次元ミュージカル協会」が設立されました。海外戦略の第一歩として、2015年、東京・渋谷に専用劇場「アイア2.5シアタートーキョー」をオープン。国際的な知名度のあるシブヤで、まずは外国人観光客を取り込む戦略で挑みます。

 日本の演劇市場に新風を呼び込むばかりか、世界でも十分に戦えるMade in JAPANの舞台コンテンツ、「2.5次元ミュージカル」。ライブエンターテインメントの新しいマーケットとして、これまでは海外作品にロイヤルティを払う一方でしたが、これからは求める側に舵を切る時代が訪れようとしています。


【参考】
ぴあ総研 http://www.pia.co.jp/
日本2.5次元ミュージカル協会 https://www.j25musical.jp/
日経MJ(2016年3月7日付)



働くママを“食”からサポート。すくすく伸びる「ベビーフード」市場。

 「ベビーフード」とは、離乳をサポートする目的で市販されている加工食品のことで、栄養補給とともに、噛む力や飲む力を身につけさせたり、“味”や“舌ざわり”などの感覚を覚えさせるといった、赤ちゃんの機能発達をサポートする役割も担っています。安全性はもちろんのこと、きめ細やかな機能性への配慮が求められるため、「日本ベビーフード協議会」では、製品規格や品質基準、表示方法などに関する厳しい安全規定を設けています。

 かつては、手作りの離乳食こそが我が子への最大の愛情表現であるという価値観が代々受け継がれていました。しかし、女性の社会進出、核家族化、情報化社会の浸透等を背景に母親の価値観に変化が表れます。毎食、手作りすることがベストだろうか、その時間を子供と触れ合うなど母親と子供の間には他にも大切なことがあるはず、と考える女性が増えてきたのです。たしかに離乳食作りは手間と時間がかかる上に、栄養摂取量の計算も難しい…その点「ベビーフード」なら、メーカー直属の栄養士の指示のもと、足りない栄養を補って栄養バランスも偏らない。おまけに、衛生的かつ手軽で使い勝手がいいと、今や、これまで「ベビーフード」を利用することに消極的だった母親たちからも、高評価を得るようになりました。  「ベビーフード」は大きく、水や湯を加える“ドライタイプ”(粉末/フリーズドライ)と、そのまま与えられる“ウェットタイプ”(レトルトパウチ/瓶詰め)に分けられます。メーカー各社は、今年3月、「ベビーフード」から撤退を表明した[明治]のシェアを奪おうと、新製品の投入やラインアップの拡充を図っています。
各社の代表商品としては------

 [森永乳業]は、1品で1食分として利用できる120g(通常は80g)の大容量ベビーフード「大満足ごはん」シリーズ(レトルトパウチ/全24品)を発売。

 [キューピー]の「スマイルカップ」シリーズ(全22品)は、そのままレンジで加熱可能。レバーやひじきなど、家庭で調理しづらい素材を使ったメニューも。

 [和光堂]は、お湯で溶くだけで簡単に作れる粉末タイプの「手作り応援」シリーズ(全28品)で働くママを応援。

 昨今の少子化にもかかわらず、「ベビーフード」の消費量は増加傾向にあり、市場は成長を続けています。育児と仕事の両立、母親の負担増といったハードな現実を前にして、安全安心、簡便性といった武器で働く女性の支持を獲得した「ベビーフード」。上手に活用するママたちが増えることが、この市場の活性化のカギとなりそうです。


【参考】
日本ベビーフード協議会 http://www.baby-food.jp/
森永乳業 https://www.morinagamilk.co.jp/
キューピー http://www.kewpie.co.jp/
和光堂 http://www.wakodo.co.jp/
日経MJ(2016年3月11日付)

ページの先頭へ